2015.07.22

名嘉睦稔木版画展 ~生命の寿ぎ~ / 広島

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奇しくも今日四月一日は、七十年前の太平洋戦の時に米軍が沖縄本島に上陸した日であります。しかも私が今この文章を書いているアトリエのある場所が、読谷村の渡具知。つまり米軍上陸の真にその場所なのです。
ここ沖縄の今日の新聞の報道も、特集を組み凄惨極まりない戦争の実相を伝えようとしています。この度の特集記事の特徴は、証言者の方々の高齢化です。かつての少年少女が八十歳を過ぎておられるのです。
沖縄上陸から四ヶ月後、「エノラ・ゲイ」爆撃機は広島に原子爆弾を投下しました。その破壊力は想像を絶するもので、その後の原爆被害の実態は例えようもない悲惨な事になりました。高熱で人間が瞬時に消滅する恐ろしさは、思うだけで体中が痛むものですが、後遺症は何十万人の人々の人生をその後も辛く困難なものにしてしまいました。身も心も振り絞るように生きてこられた被爆者の方もやはり高齢になりました。まったく私達は、過去の歴史から多くの事を学んだはずだったのに、一体どうした事でしょう。戦争の過ちも、原子力に対する過ちも、反省は深くしたはずなのに何故でしょうか。
原爆投下から七十年の節目を思う時、同時に「福島の原発」に思い至ります。人智の及ばぬ暴走を原子力は可能性として保有していると言うのに、またぞろ世界の国でそれを作ろうとするのですから・・・。
ここ沖縄の「辺野古」にはまた、新たな基地を作ろうと言うのです。戦争をする為のものです。戦後七十年、沖縄社会は自らの意思で新しく軍事基地を作る事を許容した事は一度もありません。戦争の語り部達が高齢化し、国の行く先を憂いながら亡くなっていく中、国の運営が今、問われています。
さて、私も広島で展覧会を開催させて頂く事になりました。その事について感謝の気持ちを述べようと考えていながら「戦後七十年の節目」と命題をされて、錯綜する私の憤りは少し暴走気味です。そうなりつつも、とにかく、絵描きの私は絵でもって問い続ける方法を選択しました。ですから沢山の方々に絵を観て頂きたいと考えるのです。その機会を与えて頂き大変光栄に思います。
本当にありがとうございます。 / 名嘉睦稔

名嘉睦稔木版画展 ~生命の寿ぎ~ / 広島
Official Site / オリエンタルデザインギャラリー
会期 | 2015年7月30日(木)~9月8日(火)
場所 | 1F オリエンタルデザインギャラリー
時間 | 11:00~20:00(最終日は17:00まで) 無休 入場無料

ライブ、トーク&サイン会のご案内
日 時 | 2015年8月10日(月)18:30~20:30
会 場 | オリエンタルホテル広島3F チャペル
定 員 | 100名 (要予約)
参加費 | 1,500円

ライブ 18:30~19:15
出演:坂田明(サックス)

トーク&サイン会 19:15~20:30
出演:名嘉睦稔、坂田明、大木雄高

ご予約・お問い合わせ | tel.082-240-9463(直) 受付時間 11:00~20:00

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