作品紹介 / 田中長徳『トライベッカ1983』
▼PHOTOMENTARY チョートクカメラ日記より転載
トライベッカの30年以上前の写真である。
説明すればトライアングルびろうキャナルストリートというわけだ。チャイナタウンのキャナルストリートは有名だがそこの西側から南にかけての地域はまだ工場とかトラックのセンターであった。このショットなどはウイークデーの午前中に撮ったのだが、誰もいない無人地帯である。その数年後にコマーシャルの仕事で三角形の形をしたウイスキーの瓶をこの界隈のバーで撮影した。そのBARのカウンターの形がやはり楔状なのでその楔状の先端にウイスキーの瓶を置いた。
このショットはトライベッカがまだ目覚める前の貴重な写真である。8×10のモノクロのネガをシグマのデジタルカメラでスキャンしたものだが非常にシャープである。ルーペで細かく観察するとクラシックなガソリンスタンドのロゴとかコカコーラの看板が見える。それで思い出したのは戦前に撮影されたウォーカーエバンスの名作のアメリカのカントリーサイドの写真である。まさにそのまんまおんなじ風景なのだ。エバンスは大写真家であるが同時にちょっとファナティックなところがあって、彼の仕事場には自分が撮影したカントリーサイドの巨大なコカコーラの看板が飾ってあった。そういうエバンスが私は好きである。
カメラでアドルフ8×10。レンズはコマーシャルエクタ12インチ。
田中長徳写真展『New York 1983 / 8×10』
会 期 9月19日[土]-10月2日[金] open 11:00-19:00
入場無料 会期中無休
会 場 Island Gallery
東京都中央区京橋1-5-5 B1 tel / 03-3517-2125
入場無料 会期中無休
協 賛 マルマン株式会社 Canson Infinity